ステンレスの不動態とは

ステンレスは一般の家庭でも台所用品など様々なところに使われています。
やかん、鍋、洋食器にはじまり、浴槽や建築金具まで用途は広がっています。そんなステンレスの良さは、研磨して美しい点、そしてその美しさが錆びることなくいつまでも保たれる点です。なぜ、ステンレスはいつまでも美しいままでいられるのかというと、表面に薄い耐食性を持つ膜(不動態皮膜)があるからです。

製造されたステンレス製品の表面にある不動態被膜は、加工過程で発生する様々な原因によって不完全な状態にあります。この状態は不動態被膜の破壊などを引き起こしやすく錆の発生に繋がります。不動態化処理とはこの不完全な不動態被膜を本来の状態に戻し、さらにクロムに富んだ状態へ強化する表面処理であり、その目的は耐食性の向上(錆びないようにするため)です。

ステンレスがステンレスである所以である不動態皮膜ですが、コーティング皮膜ではないので剥離する危険性がないことから、医療・食品分野の装置・器具類の表面処理として注目されており、今後も不動態化皮膜を有効利用した製品や分野は広がっていくものと思われます。

日ごろ目にする上記の電車やタンクローリーの表面、ステンレス鍋・スプーンなども全て不動態皮膜が表面にあり、サビから守られているのです。

不動態に関する豆知識

不動態について本を調べると

不動態(不働態、不働体とも書く):
「金属の表面に酸化した被膜(薄膜)ができ、内部を酸による腐食や、酸化などから保護する状態のこと。非常に酸化力の強い酸に曝された金属の表面にも不動態ができる場合がある。」
と書いてあります。金属の表面なのでステンレスに限らず、酸化膜が形成されていれば不動態と呼びます。